国立新美術館にて開催されている、『ルーヴル美術館展 愛を描く』を拝見してきた。

タロットカードでも描かれる魂の成長段階のように、この世を創造する一連の大きな流れと、日々の感情の変化が愛をテーマとして描かれているように感じられた。

一つ一つの作品から、人間らしさが溢れている。この世に生まれ愛を育んでいくことや、愛を持ってあらゆるものと接することの大切さ、命というものの儚さが伝わり、魂が震えた。

国立新美術館 ルーヴル美術館展 愛を描く

上記の『アモルとプフュケ(または、アモルの最初のキスを受けるプシュケ)』の作品からは、大いなる大地にて心を通わせる二人の純粋な愛情が感じられた。生命力のある鮮やかな緑色の大地。全体的に穏やかな雰囲気の中、幸せ溢れる二人を太陽の光が差し込んで、暖かく照らす。蝶も二人の近くまで飛んできて、二人を祝福してくれているようだった。二人が頬を赤らめ気持ちを通わす姿は、これからもずっと忘れてはいけない大切なことを教えてくれている気がした。

遠くに見える山は、これから二人が迎える試練や目指すべき場所なのかななどと、タロットカードで占う時のように見入ってしまった。

国立新美術館 ルーヴル美術館展 愛を描く

この作品だけでなく、全体が『生きることの物語』のようだった。

この世に生まれた者が、純粋に今この瞬間を自分の思うままに生きる姿。自分だけの世界から徐々に他者を認識し始め、交流していく。あらゆるものと触れ合う中で、親でもなく友達でもない感覚を味わい、自分の感情が揺れ動いていることに気づき、恋と知る。

恋をすることで、自分に気づいてほしくなったり、自分を磨きたくなったりする。「相手と気持ちが通じ合いたい」という想いがある中で、時には恋が嫉妬心に変わることもある。奪ってでも、力尽くでも手に入れたいほどの勇ましさが溢れることもある。

 

大人になり愛を深めていき、何者にも変え難い信頼や安心感を得ていく。家庭を築き、幸せ溢れる表情を皆で共有する時間や、祝福され喜びに浸る時間を味わっていく。

いくつになっても愛を与え合い、相手を思いやる気持ちを持つことで達することができる境地があるのではないかと感じた。それは、言葉では表現できないような繋がり。それを、作品は語っているように見えた。

国立新美術館 ルーヴル美術館展 愛を描く

穏やかで平和な日々を過ごしていても、生きていれば幸せだけでなく悲しみに襲われることもある。自分ではどうしようもできないこともある。作品からも、全体が黒がかっていたり、どんよりとしているもの、そこに描かれる人物の表情や態度、描かれている全てから、様々な感情を味わう出来事が起こることを暗示しているようだった。

それでも、信念を持った凛々しい姿や眼差し、今の環境の中で自分を見出していく姿があり、自分の経験や知識を次の世代や自分を必要としてくれている人に、愛を持って伝えているような姿の作品から、生きている中で起こる魂の成長段階が学べた。

 

 

始まりがあり、終わりがある。

人それぞれの学びや出会いがある中で、魂が磨かれ成長していく。この世に生まれるからこそ、知識や技術を身につけられたり、喜びや悲しみといった喜怒哀楽を感じることができる。それは、作品の中で登場する「棒」や「カップ」が描かれている作品を観た際に、まさに、生きる知恵や道具であったり、感情や喜びを受け取る器を模したものなのではないかと感じた。また、壺から溢れ出る水やそこに触れる姿から、潜在意識からの閃きを素直に無邪気に受け取ることの大切さを伝えてくれているように感じた。

 

 

私は全作品を通して、1点1点を観た時に感じたことだけでなく、作品の全体の流れからこのようなインスピレーションを得た。

 

自分の感性や感覚を研ぎ澄ますきっかけとして、芸術に触れる時間は貴重だ。芸術に触れた時、そこでの自分の感想が他の人と違っていたり、作品に添えられた説明と違っていたとしても、『自分はどう感じ取ったのか』『そこから何を学んだのか』『その学びをどう活かしていくのか』を考える機会にすることが、自分の成長段階での今の気づきなのかもしれない。

 

学びの環境を頂けたことに感謝いたします。

 

 

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