
とある取引先で、今年をもって引退なさる方がいらした。
私の両親よりも年上の方なので、人生の大先輩だ。
彼とはプライベートのことなどを深くお話ししたことはなかったのだが、一緒に仕事をすることもあったため、最終日には感謝の気持ちを伝えた。
そして最後に、この言葉をかけて締めくくろうと思っていた言葉を伝えられた。
「いつまでもお元気で」
これは昔、私が主人と旅行先でかけてもらった言葉なのだ。
ふと道端でご縁があった陶器屋のおかみさんが、私たちが遠方から旅行で来ていることを知り、お店を出る時にこの言葉をかけて見送ってくださった。
先の方のように、人生の大先輩が営んでいる陶器屋さん。
遥々この地まで来てくれたことへの感謝や、自分と出逢ってくれたことへの感謝を口になさり、最後には相手を思い遣る言葉をかけられる大きな愛。
自分より年下だとしても、親切に誠実に、相手の幸せを願える心。
私は彼女のこの言葉を胸にしまい、いつかどこかのタイミングで、自分も誰かに届けたいなと思っていたのだ。
そして今回、そのお役目がきた。
この言葉を届けると、受け取った相手は穏やかな表情になった。
心からそう思って伝えたことで、相手にも何か感じることがあったのだろう。
言葉は不思議だ。
感謝の気持ちを「ありがとう」「お世話になりました」とよくある言葉で伝えるだけではなく、もう一手間加えるだけで、その空間にあたたかな時間が流れていく。
縁尋機妙。
ご縁には、必ず意味がある。
ご縁の期間が長かろうと短かろうと、お互いの魂の成長に必要だからこそ出逢うようになっている。
そして、それぞれの業が果たされた時、別れが来る。
だから別れは、悲しいものではない。
確かに寂しさはあるが、別れがあるからこそ次の出逢いがやってこられるのだ。
その時々のご縁から学ぶべきことがあり、果たすべき業があるからこそ、日々の崇高な縁起に感謝し、淡々と自分ができることを一つひとつこなして奉仕していくのみ。
今日は、どんなご縁が待っているだろう。
良い縁が良い縁を繋いでいく様は、誠に妙なるものがある。
すべての瞬間が、魂の成長に必要な神からの計らいなのだから🍀



