
とあるレストランで食事をした時のこと。
その時間帯はコース料理が提供され、それぞれが素敵な時間を堪能していた。
すると、私と連れの近くの席に年配のご夫婦がやってきた。
彼は自分たちの食事や会話よりも、彼らの近くに座っていた他の人の様子が気になっていたようだった。
カトラリーの持ち方なのか、なんらかのマナーが気に障ったらしく、「なんだあの人のマナーは!」などと小馬鹿にしたように侮辱し笑い合う声が聞こえてきたのだ。
私はその時ふと、フィンガーボール紳士の話を思い出した。
二人組の紳士がレストランで食事をすることになった。
そのうちの一人が、テーブルに置かれたフィンガーボールを間違えて飲んでしまったのを見て、もう一人の紳士が相手に恥をかかせないために、フィンガーボールを一気に飲み干した。
ホールスタッフはその紳士を知っていたので、適切なタイミングで適切な行動をし、誰も傷つけずにみんなが心地よく過ごせたという話。
正しいことを、その場で正すことばかりが正解とは限らない。
この紳士のように柔軟に、みんなが幸せでいられる配慮ができる人の方が魅力的だ。
失敗や間違いは誰にでもあるし、完璧な人もいない。
この世や宇宙全体の知識からすれば、知っていることよりも知らないことの方がずっと多いことだろう。
ルールやマナー、一般常識というものから逸脱した人を見た時、時と場合にもよるかもしれないが、やさしく見守ることも一つの手段なのではないかと思った。
相手の姿は今見えているものだけではないし、他の良い面も必ず、それもたくさんあるからだ。
陰口を言った先の旦那さんを見ていると、彼は彼で両肘をテーブルについたりと、他人のマナーを正すほどでもないのではないかと感じてしまった。
そこで私はその二人組は気にせず、一緒に食事をしている人と、「おいしいね」「ありがたいね」「幸せだね」「綺麗な盛り付けだね」「担当の○○さん、笑顔が素敵だね」などと言いながら、今に集中した。
するとその振動場が伝わったのか、私たちよりも後にコース料理が始まったのに先に離席したのだ。
マナーが見るに耐えなかったのか、短めのコース料理だったのかは分からないけれど、心地よく幸せな波動は、空間全体をも変える力がある。
私が変えたとは思っていない。
ただ、宇宙がこの身体を介して心地よさを選ぶ言動をしたこと、そして他のお客さんも彼の言動に影響されず、今を心地よく楽しく過ごそうとしていたことだけは確かだ。
それらの波動が、全体をより心地よく変えたのだろう。
なぜか分からないけれど、最後には愛と光によって、調和を為して事が進む。
それが自然の流れであり、宇宙全体の流れ。
誰もが幸せであれますように。
誰もが自分を楽しめますように。
それぞれの魂がお互いを思い遣り、尊重し合う愛ある世界であれますように。
自分もフィンガーボール紳士のような心でありたいと思った出来事だった🍀


